2018年3月14日水曜日

2017年よく聴いたアルバム


長いこと更新もせずとっくに年も越しましたが気が向いたのでやってみました。
あまり一貫性もなくただ音楽をふらふらと聴き続けている私が去年よく聴いた作品群。




■Soulwax / From Deewee





Soulwaxが12年ぶりに突然リリースしたアルバム『From Deewee』。
エレクトロニックでいてバンドサウンド、ボーカルが主張し過ぎずインストもあり、アゲ過ぎでもサゲ過ぎでもない。全て中庸なところを押さえていて、聴く時の気分によって聴こえ方感じ方が違う摩訶不思議なアルバム。アルバムのテンションとしては淡々としているのだけど、どんな気分で聴いても何となくちょうどいい塩梅に耳になじんでくれるのでいつのまにか”迷ったらコレ”な心の寄りどころ的存在に。曲間無しなのでシームレスにヌルっと聴けるアルバム。






■N.E.R.D / NO ONE EVER REALLY DIES



年末リリースで7年ぶりにドロップされたN.E.R.Dの新作が滑り込み。
変則的で全体的に間が抜けたような印象は”らしさ”が強く出ていると思う。でもサビには分かりやすいフック仕込んであってキャッチー。そんなバランスが心地よくてついつい手が伸びた。変態だけでは片づけ切れないファレル・ネプチューンズ節。客演の多さよ。#1~7くらいまでは飽きずにまだ聴いてる。






■RHYMESTER / ダンサブル




RHYMESTER、11枚目のアルバム『ダンサブル』。
タイトルが示す通り、難しいこと抜きに踊ろうぜ!というアルバム。近年は毎回違うコンセプトをもとにアルバム制作をするライムスターの作品の中では比較的直球で快楽主義的な部分が強く出ていて分かりやすい作品だと思う。飲んでウェイウェイ言って揺れていれば確実に楽しくなれる。フロア向き。あとジャケが最高。ポップもブギーも生音もあり、エモもあれば爽やかもおふざけもあり。全部踊れて楽しい。彩り豊かな10曲入魂40分間のダンサブルタイム。
去年はこのアルバムが出てから急ピッチでライムスターにずぶずぶとハマっていったので個人的にライムスター元年とさせていただきます。






■藤井隆 / light showers




”90年代の音楽”をテーマに作られた、オリジナルとしては4枚目のアルバム。
ベースはポップであれ、今回はギターロック調、ハウス、シティポップ、NJSと90年代の要素が各曲にちりばめられている。プロデュース / アレンジはYTこと冨田謙さん。アルバム発売を前に公開された90年代CM風アルバムトレイラ―も今のファン層や芸人の枠を超えて話題に。ちなみにジャンパーは当たらなかった。
もうかれこれ5年近く、主に歌手・藤井隆としては何度もライブに足を運んでいるので、もはや客観視はできていないかもしれない。しかし藤井さんは贔屓目抜きでリリース毎に最高を更新してくれる。貴重な存在です。芸人はもとより俳優としての顔も併せ持つ多彩な方だけど、歌手としてのポテンシャルも計り知れない。






■Thundercat / DRUNK



Thundercat、4枚目のアルバム『DRUNK』。
AOR、エレクトロニカ、シンセポップ、ヒップホップなど様々なジャンルのクロスオーバー。Thundercatフィルターを通した進化系ブラックミュージックに。
見た目からは似ても似つかぬ繊細で高音メロウなボーカル、ファルセットの美しさも相まって甘い優しい印象なんだけど、時々本職?のバカテクベースプレイでビシビシ切り込んでくるメリハリ職人。このバランスが心地よい。アルバム全体的には物憂げでマイナー調。
24曲収録というと重たく感じ無くもないけど1曲3分くらいで進むのでテンポが良い。何年か前に出たFlying Lotusのアルバムもやたら回転が早かったような。BRAINFEEDERイズムかな。







■LEO今井 / Film Scum EP

Film Scum


正直、私はLEO今井についてMETAFIVEの人ということ以外何も知らない。でもこのEPはよく聴いた。テレ東で深夜に放送されていた「デッドストック」というドラマのサントラも兼ねたEP。リンクを開いてもらえば分かると思うけど今時珍しいホラーでオカルティックな内容のドラマで、そのドラマの空気感を聴覚で操っていた曲がこのEPに収録されている。
1~4は劇中のBGMとして使用されていた曲。内省的で陰鬱とした感情や衝動が渦巻くダークなインスト。どれもノイジーでエレクトロニック。中でも「Dead Stock4」は初見で確実に面食らう。ノスタルジックな曲調から一転、最後の約40秒で突然訪れるスラッシュメタル。牙をむくようなシャウト。唖然としながら痺れる謎の感覚。ダメな人はダメだと思うけど転調…というか、意表を突かれるプログレッシブな展開が好きな人にはドラッグです。
そんな不穏なインスト群が終了すると、最後5曲目はバンドサウンドでLEO今井ボーカルの新曲「On videotape」。最後に人の声やバンドの生音に触れることで正気に戻ってくれたような感覚になって少し安心できる。この情緒不安定な流れも面白かった。

5曲合わせても15分程度で聴けてしまうし、ドラマを知らなくても楽しめるのでお試し感覚で聴いてほしい作品です。






■AKLO×JAY'ED / Sorry...come back later EP




ラッパーAKLOとシンガーJAY'EDのスプリットEP『Sorry...come back later』。
夏頃のリリースということもあってか、ボーカルもラップもスムースでR&Bっぽいグルーヴの曲が並ぶ。アルバムトータルではクールな印象。プロデューサーはBACHLOGIC。
アートワークは大瀧 詠一の『A LONG VACATION』のジャケでもおなじみのイラストレーター永井博。90年代前半オマージュのMVも◎。
ちなみにリードで発表されていた「Different Man」はLEO今井の時にも出てきたデッドストックのオープニングでもある。あのドラマの音楽担当とは趣味が合うっぽい。






■The PLAYlist / Cahsing Goosebumps

CHASING GOOSEBUMPS [Analog]


DJ Jazzy Jeff & the Fresh Princeとしてお馴染みのJazzy Jeffによるプロジェクト、The PLAYlistのアルバム『Cahsing Goosebumps』。
若手を中心とした新たな才能と、Jazzy Jeff周りのベテランプロデューサーやシンガーがお互いのインスピレーションを持ち寄り、新たな音楽を作り出すことを目的としたPlaylist Retreatという2015年にはじまったプロジェクトが発展した結果、今回のアルバムリリースに至った。
メインボーカルにはソウルシンガーとしても既にキャリアがあるGlenn Lewisを迎えて1週間でレコーディング。ソウル・ジャズ・ヒップホップを中心としたミディアム~スロウな作風。
去年2月のリリースだけど年末に発見して以来今も聴き続けている作品。1度聴いてから今までリピートし続けているので早い段階で出会っていてもおそらく聴き続けていたはず。ということで年間ベスト入り。何を隠そうDJ JINレコメンド(アーティスト・DJが選ぶ2017年ベストディスク)。こんなところにもライムスター余波が。








■Visible Cloaks / Reassemblage

Reassemblage [ボーナストラック1曲のダウンロード・コードつき]



ポーランドの2人組Visible Cloaksのアルバム『Reassemblage』。
音のない自然の営みを音として具現化したような、繊細なスピリチュアルアンビエント・ニューエイジ。ふわふわと耳触り柔らかな丸みを帯びたシンセ、エキゾチックな楽器の音やパキパキとエッヂの立った電子音が混ざる瑞々しい世界。粒立った音像。
甲田益也子がフィーチャーされた「Valve」は唯一”人の声”が収録されており、スポークンワードと連動するように柔らかいシンセが重なる独特な世界観の曲(声とトラックが連動する感じはASA-CHANG&巡礼を思い出した)。そういったフックとなる曲もある。
作業用BGMというと少し雑な感じに聞こえがちだけど、いつ聴いても邪魔にならず気分や気持ちを落ち着かせてくれるので、何かしながら延々流していた。サイケな映像も良い。





■Shobaleader One / Elektrac




Shobaleader Oneのデビューアルバム『Elektrac』。
Squarepusherの過去の名曲をバンドアレンジで再現。ベースはもちろんSquarepusher。スタジオレコーディングではなくライブテイクをそのまま収録しているので、実質ライブ盤。基本エレクトロニックな曲をバンドで再現しているので、結果的にやたら音数が多くて攻めたフュージョンになっている。原曲よりスピーディで時々歓声も入る生感が私にはたまらなかった。去年ソニックマニアでライブも見たのだけど音圧と勢いに圧倒された。ライブテイクをそのまま収録したのもステージングへの自信の表れかもしれない。






■Tycho / Epock




Tychoの5thアルバム『Epock』。前2作から続く3部作が本作にて完結。新たにメンバーが正式加入し、ソロからバンド編成になったことでエレクトロニックなポストロックバンドに。
タイトで跳ねるような小気味よいドラム、ゆらめくように残響するシンセ、主張しすぎないギター、ベース。BPM130前後とほとんど一定で、楽器隊各パート見せ場があり、緩急ある展開で踊らせてもくれるというバンドと打ち込みの良いとこどり。一挙両得。”夜明け”や”芽吹き”とかそんな印象を受けるアルバム。






■Kamasi Washington / Harmony of Difference


ジャズサックス奏者・Kamasi Washingtonの2ndアルバム『Harmony of Difference』。
”Hermony of Differene”というタイトルで示された対位法という音楽的手法、異なる旋律の調和がテーマ。アルバム通して組曲として構成されており、本作の3分の1くらいの尺を占める最後の「Truth」で壮大なグランドフィナーレを迎える。キャッチー、スリリング、ムーディなど、各曲の色が出ていておもしろかった。
3枚組で3時間弱というフルボリュームどころじゃないボリュームでリリースされたデビューアルバム『The Epic』は、正直なところ長すぎて最後まで聴ききるにも一苦労だったけど、本作6曲入り30分とかなりタイトにまとまっているのでサクッと聴けてちょうどいい良い。起承転結がハッキリしていてアルバムの全体像を捉えるまで時間がかからなかった。初心者からジャズファンまで幅広い層からの支持もうなずける軽くて濃厚なアルバム。







■MISIA / MISIA SOUL JAZZ SESSION

MISIA SOUL JAZZ SESSION

MISIAのセルフカバーアルバム『MISIA SOUL JAZZ SESSION』。
MISIAが時々垣間見せるブラックな側面に焦点を当てた作品。誰もが耳にしたことがあるであろう自身の楽曲がよりソウルフルにアップデードされている。
元々ソウルフルで安定した歌唱力を持ったディーバタイプなシンガーであることはおそらく周知の事実だろうけど、楽曲面ではそこまでブラックミュージックに寄りすぎずポップベースな曲が多い印象だった。しかし本作は曲においてもそのブラック濃度グンと上げて私のようなブラックミュージック寄りの音が好きな人間を殺しに来た。ジャケなんかももう黒人の出で立ちですし。
ゲストにもトランペッター黒田卓也、ギタリストRaul Midón、ベーシストMarcus Millerと、その筋の名プレーヤーを招く力の入れよう。
特別MISIAのファンではないけど、バンドでスムースなソウル、ジャズ風味なアルバムはボーカルの持ち味ともがっちりハマっていてとても気持ちよかった。






■Vektroid / Seed & Synthetic Earth




かつてはMacintosh plus、情報デスクVIRTUALなど数々の変名を使いVaporwaveというジャンルを確立させるきっかかけを作った鬼才Vektroidの最新作。ここに来て満を持してのネット音楽枠です。最近は変名作品もあれど、Vektroid名義を中心にエレクトロニカやノイズ、エクスペリメンタルなんかがメインの音楽家として活動中。近年Vaporwave色は影を潜めている。
そんなVektorid最新作はポップでエモーショナルでカオティック。入り乱れる電子音とグルーヴの波に揉まれながら『Seed & Synthetic Earth』の世界を疾走するアトラクションのような。各曲表情豊かでゲームのサントラのようでもある。Vektroidの中では曲ごとに明確な風景が見えているのかもしれない。それくらい各曲の表情とその世界感がくっきりと打ち出された作品。アルバム1周で満腹になれる。できれば通して聴きたい。






■Nick Hakim / Green Twins





Nick Hakimの1stアルバム『Green Twins』。
スローでサイケデリックなLo-fiソウル。アンニュイな高音ボーカルとモヤのかかったように広がるトラックが絡む酩酊感が心地よい。聴くほどに脱力。哀愁漂うサックスパートが挟まれる「Miss Chew」なんかは鼓膜がトロトロ溶けていきそう。ブルージーなギターやもたげるように刻むドラムなど、気だるそうなバンド演奏も◎。





■Tuxedo / TuxedoⅡ


Tuxedoの2ndアルバム『TuxedoⅡ』。
ディスコ・ブギーな作風は相変わらずなのだけど、ダンディでややメロウな前作から肩の力が抜けて、シンガロングありクラップありの陽気なフロア仕様に。軽やかで少し若返ったような印象の2作目。前作同様ディスコ・ブギー・ファンクといった要素に弱い私は何の抵抗もなく聴き続けられた1枚だった。
個々で既に成功を収めている2人なのでいつまで活動していくのか疑問を持ち始めていけど、先月Zappとのコラボソング「Shy」の7”シングルがリリースされた。まだまだディスコ・ブギーで行けるっぽい。






■!!! / Shake The Shudder

Shake The Shudder [輸入盤CD / デジパック仕様 / ブックレット付き] (WARPCD283)_444



!!!の7thアルバム『Shake The Shudder』。
元々エレクトロニックでダンサブルなバンドで、根っこの部分は変わらないけど前作までの!!!がハッピーで陽気だとしたら、本作はクールでスカした印象のアルバム。どの曲も派手さはあまりないものの、淡々と踊らせてくれる。楽器隊はベケベケしていてファンキーなベースプレイが光る曲が多い。ファンクトロニカ感。
幕開け1曲目「The One 2」は聴いてびっくりソウルフル。でいてエレクトロニック。誰だか分からないけどほとんどのパートがソウルフルな女性ボーカル(たぶん黒人)の歌唱。この1曲目のソウルフルさんとは別に、8や10にも名もなき女性ボーカル(たぶん白人)が登場する。







■the band apart / Memories to Go


the band apartの8thアルバム『Memories to go』。
ロックをベースに曲ごとに様々なジャンルの影響も感じられるのがバンアパらしさでもあると思うのだけど、本作は特にそういったアプローチが仕込んである。
爽やかなポップスからAOR、80年代シティポップ、時々HRHMを感じるフレーズまであり、耳触りはシンプルだけど実は複雑。でもトータルで散漫な印象にならない一本筋が通ったバランス感覚。7月のリリースを意識してか清涼感もありノスタルジックで、「雨上がりのミラージュ」や「お祭りの夜」などタイトルからも夏を感じる曲もある。

爽やかでメロディアスなギターリフや軽快なカッティングギターも良いのだけど、爽やか一辺倒で終わらない遊び心が随所にみられるので気が抜けない。特に曲終盤突然の転調から攻めのギターとドッスドスのツーバスで攻め散らかして終わる「Super high」や、イントロからアクセル全開で駆け出してアウトロではテンポダウンして終わる「BOOSTER」なんかは聴いてて脈が上がっちゃう。個人的に近年のバンアパは確実に当てに来るので間違いない。







■テンテンコ / Good Night Dub


テンテンコの自主制作CDRシリーズ第18弾『Good Night Dub』。
毎月1枚違うテーマでリリースされているテンテンコさんのCDR。テーマはダブ。ゴリゴリのノイズやIDMなどストイックなインストや、鼻にかかった声が印象的な歌モノが多いテンテンの新境地。
本作は全編インストでノンボーカル。ダブらしいエコーやリバーブでぐわんぐわん揺れるようなグルーヴの曲が並ぶ。湿度の高いぼんやりした夏の真夜中のような作品。酩酊感も◎。最後の「Bikibiki Dub」はテンテンらしいノイジーでシンセライクな攻め曲。







■テンテンコ / Deep & Moistures 1


テンテンコの自主制作CDRシリーズ第23弾『 Deep & Moistures 1』。こちらもインスト。
テクノ・ハウス・ベースミュージックなんかの影響を受けた、高速BPM・重低音連打が特徴のジャンル、JUKEがテーマ。少し間の抜けた音をサンプリング。抜きどころとキレのバランスがいい塩梅。テンテン流のJUKE。







■tricot / 3




日本のロックバンド、tricotの3rdアルバム『3』。
力強い芯のあるボーカル、女性らしいコーラスの繊細さに、変拍子と転調を繰り返すテクニカルで武骨な演奏の合わせ技。キャッチーなメロもふんだんに、でも歌詞は皮肉っぽくてやや影があって…と、tricotワールド炸裂。じゃなくて爆裂。”唯一無二”という言葉がしっくり来るバンドです。アッパーが多くて飛ばした印象のアルバム。特に「18,19」は聴いてるこっちの目が回るほど転調が多くてやりたい放題。ライブで聴きたい。







■MULATU ASTATKE / Mulatu of Ethiopia

MULATU OF ETHIOPIA [帯・ボーナストラックDLコード・日本語解説付国内仕様盤]


MULATU ASTATKEのアルバム『Mulatu of Ethiopia』。
ヴィブラフォンやコンガの奏者でエチオピアジャズの創始者。レジェンド的存在。72年の作品なので厳密に言うと2017ではないけど、リイシューしたしよく聴いたので2017としておきます。
ジャンルはジャズ、ファンク、ラテンのクロスオーバー…というと少し物足りなくて、同じアフリカでもレゲエとは違う南国エチオピアで育まれた民族音楽独特のエキゾチックさと、まったりとしたリズムが終始良い湯加減のインストジャズ。レアグルーヴ。
ドラムやベースよりヴィブラフォンを初めとした上モノの存在感が強く、中でも気になったのが何やら呪術的な儀式に使われそうなピロピロした尺八のような笛の音色。これは尺八でもフルートでもなくワシントという竹製の笛の音らしい。エチオジャズには欠かせない楽器のひとつとのこと。勉強になる。参考→(【音楽】エチオ・ジャズの歴史とその魅力







■Diskette Romances / Diskette Romances





ここからはネット音楽枠。台湾のビートメイカーDiskette Romancesのアルバム『Diskette Romances』。
サンプリング・ループ系のアンビエント~ニューエイジ。最近はVaporwaveと言ってもいろんな方向性があるけど、これは奇をてらうような演出がある作品ではなく、#Riversideというタグがうなづける優雅なアンビエント。ザラッとした音質のLo-fiさが良い意味で雑味として生きていてそれも◎。あとジャケットのインパクト。年間ベストジャケのひとつです。






■バーチャル Paragon ™ / World Leaders




フランスのビートメイカー、バーチャル Paragon ™ のアルバム『World Leaders』。
こちらもワンフレーズのループ系。やたら小奇麗でスタイリッシュな印象のアンビエント。講習の時とかに見せられる映像で薄く流れてそうな公共感。ラスト2曲だけ少し様子がおかしい。特に最後の「2020  The  Fall」は深いリバーブがかかったLo-fiな音色に急激なピッチの上下運動を繰り返す、Vaporwaveの中でもクラシックなタイプの曲。ジャケットや曲名から察するに政治的なメッセージを込められているのかもしれない。最後ひずんだ2曲でシニカルなメッセージが込められている…と捉えるのは深読みしすぎかな。






■ΣPSON / CASCADIA






アメリカのビートメイカーΣPSONの『CASCADIA』。
Vaporwaveの中で更に無数に存在するマイクロジャンルのひとつ、late night lo-fi系の作品。ムーディなスムースジャズやAORのスクリュードでよりスロウになったリズムと、歪みというより倍速録音したカセットのようなこもった音質、リバーブ・エコーがかかった酩酊感など、文字通りlate nightでlo-fiな聴き心地。本作はA面で、『ARCADIA』というB面も存在する。どちらも同じくlate night lo-fiたる作風。個人的には本作の方がテンポが遅い曲が多く、夜感が強くて再生頻度も多かった。






■FM Skyline / Deluxe Memory Suite™






アメリカのビートメイカー、FM Skylineのアルバム『Deluxe Memory Suite™』。
チルアウトで南国のユートピア感が強いリゾートアンビエント…かな。時々lo-fiな音色の曲も混じっていて私好みだった。とにかく無心で再生できて邪魔にならない。






LifeMod / Virtual Skies Ⅱ





LifeModの『Virtual Skies Ⅱ』。
ヒーリングミュージック・ニューエイジ寄り。アフリカのサバンナを思わせるような野性味溢れるナショナルジオグラフィック的世界が広がっている。チョップド・スクリュードやループといったVaporwaveにおける王道な手法が用いられた曲もあり、地球規模の癒しの要素とクラシックなVaporwaveを行き来して不思議な感覚になれる作品。





ということで相当絞りましたが枚数考えず挙げ続けたら計27作品も。特に順位を付けたつもりもなく思いついた順で。こうして並べてみると、あまりジャンルにとらわれず聴こうとしても似た傾向の作品を聴いてしまうものですね。総じてブラックミュージックっぽい割と踊れるセレクトになってました。ロックをはじめHR/HM関係もめっきり弱くなってしまった。

ちなみに曲単位だとフィロソフィーのダンスの「バッド・パラダイム」とか谷本早也歌さんの「PALPITO」とかよく聴きました。


こういうの書いておくと自分の記憶にも残りやすいことが分かったのでまた定期的に細々やっていこうかと思います。