2017年5月12日金曜日

気になる音楽メモ 3月・4月編


Especiaの解散とか春のおかげとか、いろいろと理由付けてサボった3月もまとめて気ままに振り返りながら3月・4月の新譜をああだこうだ言うやつです。




Shobaleader one / 『Elektrac』







Squarepusher率いる覆面バンド、Shobaleader oneのデビューアルバム『Elektrac』。
ざっくり言うと、発表済みのSquarepusherの楽曲を生音で再現するバンド。Shobaleader oneとしてのライブテイクをそのまま1stアルバムとしており、歓声や拍手もそのまま収録された臨場感と迫力が伝わるアルバムだ。
硬質でエッジの効いたエレクトロが中心だけど、生音メインのジャズ・フュージョンなアルバムを発表したこともあるSquarepusher。このアルバムではそんな過去の楽曲群をオシャレなフュージョン寄りの音にアレンジしたかと思えば、速弾きベース、ドカスカ叩き散らす人力ドラムンベースなどテクニカルな演奏で突然畳み掛けるようにハードな展開になることも。あえて音楽ジャンルで例えるならハードフュージョン…とでも言おうか。バンドサウンドに馴染みがあるなら、特にSquarepusherの原曲を知らない人も問題なく楽しめるアルバムではないかと。むしろ原曲という先入観がない分純粋にアルバムを楽しめるかも。
ちなみに上でデビュー作とは書いたものの、ベースのSquarepusherをはじめ腕の立つプレイヤーが集うバカテク精鋭集団とのことなので演奏はピカイチ。もしひとつ物申すとすればジャケがダサい。それ以外は最高。







Tuxedo / 『TuxedoⅡ』






Mayer HawthorneとJake OneによるユニットTuxedo、2枚目のアルバム『TuxedoⅡ』。
”お?Tuxedoってこんなアゲてく感じでしたっけ?悪くないけど。むしろいいけど?”というのが一聴してみた感想だった。
前作同様70~80年代のディスコ・エレクトロファンク感はそのままに、軽快で陽気なフロア対応型アルバムといった感じ。前作のモダンでダンディな作風から考えると大分砕けた印象を受けた。先行公開されてた「Fax with the tax」なんかは顕著で、ハンドクラップやシンガロングができそうなポイントが分かりやすく仕込んである。しかしフロア対応型とはいえそこはTuxedo、品が損なわれない程度に盛り上がるポイントを押さえたちょうどいい曲が多いかな、と。パーティにはおあつらえ向きのディスコファンクアルバム。







電気グルーヴ / 『TROPICAL LOVE』


電気グルーヴ アルバム「TROPICAL LOVE」

 

電気グルーヴ13枚目のアルバム『TROPICAL LOVE』。
諸々説明不要な感じだけど、ふざけたことしかしてないのにキッチリかっこいい電グル節。全体的に南国の解放感みたいなものを感じるのはタイトルに引っ張られているからなのだろうか。いつもよりゆるい気がする。トラックリストには表示がないのだけどKenKen、夏木マリ、トミタ栞など参加でゲスト陣も豪華。
「人間大統領」MVがAC部が描く映像を実写化したみたいな出来でヤバい。画質の荒さも。こういうことをどメジャーでやって受け入れられてるところもやっぱり凄い。






女王蜂 / 『Q』




2年ぶりに発表された女王蜂5枚目のアルバム『Q』。
妖艶、繊細でいて攻撃的、国籍性別一切不明という独特の存在感を放つ女王蜂の新譜。前作『奇麗』は重めの病んでる系歌詞にキャッチーな4つ打ちロック歌謡といった感じだったが、今回はそれまでの作風も踏襲しつつより軽快でダンサブルな方向性に舵を切った。実際先行公開された「DANCE DANCE DANCE」をはじめ、”DANCE”や”踊り”というワードが要所要所で登場している。
アルバム序盤では独特の毒っ気や妖しさは薄まったような気がしたものの、終盤では「Q」を初めとしたアルバムのダークサイドを担う病み曲が並ぶので従来の女王蜂らしさも決して消えてはいない。全9曲というアルバムにしてはコンパクトな内容でありながらそれを感じさせない濃厚な38分間。満腹。






Soul Wax / 『From Deewee』




ベルギーのダンスロックバンドSoul Wax、12年ぶりのアルバム『From Deewee』。
2 Many DJsの人たちが元々やってたバンド。ぶっちゃけDJとしての活動しか知らかなったので久しぶりのアルバムと言われてもピンとこなかったのだけど、ジャケに惹かれて聴いてみたとても良かった。制作期間激短の一発録りらしい。
アルバムは全体的に緩急が少なく淡々としていて、ストイックなエレクトロニカのようなペースで進む。歌モノよりインストが多く、曲ごとにバンドと打ち込みの要素の配分は変わるものの、「Missing Wires」、「Is It Always Binary」などドラムが目立つ曲が多い。ダンスロックというよりバンド×エレクトロニカという感じ。
全編BPMは100~120前後と、大よそ同じペースで曲間を空けず地続きで進む為、どこで次の曲に突入しているのか分からなくなる程シームレス。気付くとアルバム2周目に突入していることもしばしば。程よく乗れていつ聴いても邪魔にならないテンションなので日常の様々なシーンにフィットするアルバムだと思う。






谷本早也歌 / 『箱の中の少女』




谷本早也歌、初のオリジナルミニアルバム『箱の中の少女』。
…と、書いては見たものの、この人のことを全く知らなかったので諸々調べるところからはじめてみた。2015年に1stアルバム『まほうのおんがく』でCDデビュー。作詞・作曲・編曲、ボーカルまでほぼ全てをこなすDTM女子とのこと。前作は8bitなピコピコサウンドだったらしい。
このアルバムはというと、ジャケットから受ける印象通りガーリーで可愛らしい作風。カラフルで時々コミカルな8bit感も随所に見られる暖かいエレクトロポップ。NHKみんなのうたで流れてきても違和感ないであろう、童謡に出てくる優しい少女のような表題曲「箱の中の少女」をはじめとした歌モノから、上に貼った「PALPITO」のようなで神秘的でクリア質感のインストまで丁寧に作られているな、という印象を受けた。暖かみのあるピコピコサウンドとキュートで無垢な歌声に終始なごみっぱなしの25分間。










中小企業 / 『NESS』


2人組のヒップホップユニット、中小企業の2枚目のアルバム『NESS』。
この人たちの事をよく知らないのだけど、ドープで浮遊感あるトラックに、ラッパー特有の押しとクセの強さもありながら程よくゆるいフローのラップが耳心地良い。ふわふわチルい。元ネタが全く分からないけどサンプリングが多用されている。個人的にアートワークも好み(オフィシャルサイトもカラフルで洒落てる)。10曲入って1200円ですってよ奥さん。破格かよ~




中田裕二 / 『thickness』


全くノーマークだったんですけどラジオから流れてきた「Deeper」が良さげだったのでアルバムを。
古めかしさも感じるロック・AOR・ファンク・ソウル・シティポップ・カントリーなど様々なジャンルを貪欲に織り込んだオルタナティブなアルバムだった。椿屋四重奏時代から艶っぽいと評されていたボーカルも健在で、先にも出てきたリード曲「Deeper」はムーディなサックスと艶やかなボーカルが絡む煙たいファンク~ソウル風味で、ねっとりした歌い方が特に生きている。毎曲変わる味付けで聴く者を飽きさせないギターロックアルバムです。




以上、3月・4月よく聴いたもの・気になる新譜でした。