2019年2月14日木曜日

よく聴いた音楽 2018 9月・10月編


マイペースに更新していきます。去年の9月10月まとめ。




Brandon Coleman / Resistance



Brandon Colemanの2ndアルバムがBrainfeederよりリリース。
新世代LAジャズの注目株的な扱われ方をされていて、Kamashi Washingtonのバンドメンバーであり、Flying LotusをはじめとしたBrainfeeder周りのアーティストのサポートもしまくりの名キーボーディストでもあるのだけど、Brandon Coleman名義の本作は全編に渡るボコーダーボイスが特徴的なブギーファンク。70年代ハービーハンコック直系。流麗なメロウチューン、ミドルテンポから軽快なGファンク、R&Bやジャズの要素まで広く黒いジャンルを取り入れながらファンク・ブギーを貫いている。
踊らせてくれる上に聴かせてくれて、自然とアルバム通して聴き続けられる抜群の楽曲と曲順でフル尺44分。本作以上に”ちょうど良い”が揃ったアルバムを私は知らない。







冨田ラボ / M-P-C "Mentality, Physicality, Computer"




冨田ラボの6thアルバム。
世界的な音楽トレンドも反映させた、シンプルかつ実験的ポップス。
ジャンルを問わず才能ある新進気鋭のアーティストとのコラボを積極的に行い、意図的に化学反応を狙った前作『SUPERFINE』からの地続きで、今の時代感が反映されたフレッシュなポップアルバム。
1曲目「MPC」をはじめ、「Interlude」「Outroduction」に至る作品の骨組み・柱といってもいい部分でKANDYTOWNのラッパー・ryohuとコラボ。他にも女性ラップデュオ・ChelmicoやジャズバンドWONKのボーカル・Kento NAGATSUKAといったブラックミュージック寄りの若いアーティストが多く参加しているのも特徴的。こういう畑の違う若手の実力派を招いて新しい風を入れながら、自身のポップスの最新型として昇華させているあたりのバランス感覚が素晴らしい。







ED MOTTA / Criterion Of The Senses



ブラジルのシンガー/プロデューサー・Ed Motta(エヂ・モッタと読むらしい)のアルバム。
都会の夜感あふれるアーバンなAOR。ややハスキーで艶やかなシルキーボイスも相まって夜感増し増しです。
彼自身AOR好きなことはもちろん日本のシティポップマニアで、レコードをうん千枚所有するレコードコレクターでもあるらしい。本作にもそのシティポップ的思考がうなづける80年代シティポップ・AOR的アレンジに、同じくカマキリを模したジャケットとして有名なSteely Danの名盤『Katy Lied』からのオマージュと思われるカマキリジャケなど、オリジナリティの中に分かる人には分かる粋な小ネタを仕込む大人の余裕よ。







STUTS /Eutopia



MPCプレーヤー/トラックメーカー・STUTSの2ndアルバム。
心地よい湯加減のメロウなグルーヴ感漂うヒップホップ。
ゲストにラッパーやシンガーを多数招き、鎮座DOPENESSとCampanellaがゲストの「Sticky Step」のようにビート感とラップが印象に残る曲、そしてタイのシンガーソングライター・Phum Viphuritをゲストに招いた「Dream Away」のような生音をふんだんに取り入れたのグル―ヴィな歌モノや、ゲストなしのインストまで振り幅広く収録。
100前後のBPMで少し遅いけど延々踊り続けられそうな、どこを切ってもダンスフロアで誰も置いてきぼりにしない万人に優しいヒップホップアルバムだと思う。『Eutopia』の看板に嘘偽りない理想郷的聴き心地のよさです。







Pray for Triangle Zero / Thaumaturgy



Pray for Triangle Zeroのアルバム。
抽象的なIDM・エクスエペリメンタル。ビートやシンセとマイナー調のピアノ、ノイジーなエレキギターやグリッチノイズなどが絡みながら展開していく混沌とした世界観。不協和音とも違う、「Virtual Signalling」というタイトルも納得の不規則な電子信号ような音楽。








AOTQ / ALONE



AOTQのアルバム。
丸みのあるミューザックのようなチープな音色のインストエレクトロポップ。
チープとは言ったものの、トラップなど今っぽいアプローチも垣間見える最新型?ミューザック。前作『E-MUZAK』同様、穏やかに流れるようなスムースさが心地よい。決して刺激的ではないけれど、日々の生活に溶け込んで日常に寄り添うBGMとして最適。心持ちを自然と上に誘導してくれるような、押しつけがましくないポジティブミュージック。








NORIKIYO / 馬鹿と鋏と

馬鹿と鋏と


ラッパー・NORIKIYO、8枚目のアルバム。
メッセージ性を読み解きたくなるラップアルバム。…とは言いつつ私も完全にそのメッセージを読み取れているとは思えない。しかしNORIKIYOのラップは聴き取りやすいので歌詞も入ってきやすく、歌詞やアルバムのテーマなどに重点を置かない聴き方をしがちな私でも、その意味を読み込みたくなるようなアルバムだった。
トラックは毎回アルバムごとのテーマに沿って、そのテーマを伝えるのに最適なトラックを選ぶとのこと。曲ごとにトレンドも取り入れながらヒップホップクラシックやアーバンなトラックも混在しており、1枚のアルバムの中でトラックの方向性はガラッと変わる。
個人的に今のヒップホップのトレンドライクな曲(トラップに乗せてオートチューンをかけた声でラップするベースミュージックっぽい曲)が苦手なので、細かくアレンジが変わって同じ調子の曲が続かない構成は聴きやすかった。








テンテンコ / Deep & Moistures 7 ~ Day In Life



テンテンコの自主制作CDRシリーズ第31弾。
ノイジーで硬質なIDM・エレクトロニカ。全編歌唱なしでひたすらストイックな打ち込み。まさしく電子音が暴れ出したかのように牙をむく1曲目の「暴動」や、「地中」から続く4~6の地中三部作(と、私は勝手に呼んでいる)の少しずつ外界から遮断されて埋もれていくような感覚の音の変化が面白かった。
歪んだ変則的な重低音からメカニックな電子信号的高音、キンキンとした金属音っぽい音色まで、徐々に押し寄せてくような電子音の渦。







Elusive / Consonance



LAのキーボーディスト / プロデューサー・ElusiveのEP。
ヒップホップ・ジャズ・エレクトロニカを横断する、いわゆるLAビート。Flying LotusやJ DIllaを彷彿とさせるもたついたビート、うねるようなシンセをはじめとした上モノなどコズミックなグルーヴ感が特徴的な作品。ベースやバスドラより小気味よいスネアドラムが目立つのでやや軽めな印象を受ける。前作のEP『Dissonance』からさらにエレクトロニカ・ジャズ路線に舵を切った作品。








フィロソフィーのダンス / イッツ・マイ・ターン / ライブ・ライフ



フィロソフィーのダンスの両A面シングル。
もはや説明不要な感じもしますが、一貫してファンキーな曲と個性派揃いで歌唱力にも定評がある4人組アイドル。
本作はライブや配信で発表し続けていた新曲のうち、コズミックなブギーファンク「イッツ・マイ・ターン」と、踊りたくなる軽快なファンクチューン「ライヴ・ライフ」2曲を収録。
軸足はドッシリとファンクに置いた上でアイドル歌謡やR&Bなどの要素を曲に取り入れ、放っておくと四散しそうな方向性の違うボーカルとキャラクター(↑MV参照)もそれぞれ住み分けができていてまとまって印象に聴こえる奇跡的なバランス。去年1番聴いた曲かもしれない。